早稲田大学 ラグビー部

7年間優勝から遠ざかっている早稲田大学のラグビー部のブランディング計画。

今シーズンから新監督が就任し、これまでのOBによる週末のみの指導から常駐の専任コーチとなり、
さらに栄養士や専属トレーナーなど、24人体制によるコーチングスタッフに刷新。
トレーニング器具や設備、寮なども整備し、新たにアシックス社とのスポンサー契約も結んだ。
これらの改革の一環として、デザインによるブランディングとコミュニケーションを担当することに。
ユニフォームをはじめ、選手が使用する各種備品やウェア、チームスローガンやメインビジュアル、
イメージムービー、公式ホームページ、リクルート用資料から応援グッズまで、トータルにデザイン。

今シーズンは「個」の力に頼るのではなく、組織的な連携による切っても切れない「鎖」のような
ディフェンス・システムに主眼を置いた強化方針となることから、チームスローガンを
「BE THE CHAIN」とし、選手はもとより、コーチ陣、関係者、ファンなども含めた一体感を呼びかける。
ユニフォームは伝統の「エンジ×黒」のボーダー柄をベースに、ボーダーの幅や角度を調整したり
部分的に切り離すことで、筋肉の流れが強調され、より身体が大きく、プレーが魅力的に見えるように配慮。
また、選手たちが横に整列したりスクラムを組んだ際に、腰のV字が合わさって早稲田を象徴する「W」が
浮かび上がり、複数人が連動することで力を発揮するという、チームの思想を反映したデザインとした。

背番号には、端には「W」をあしらうことで背中に躍動感を与えつつ、黒い縁取りには
「早稲田大学が優勝した年」が全て刻まれることで過去の栄光と伝統を常に背負いながら
戦う姿勢を表現した。そして、襟の裏にはスローガン「BE THE CHAIN」とともに、
15人の選手がガッチリと絡み合った様子を象徴した「15連の鎖」をプリントした。

布地も軽量でフィット感の良さがありつつも高い摩擦強度があるものにし、胸部と脇にシリコンラバー
プリントを施すことでグリップ力が増し、スクラム時のパック強度を高めることができた。
さらに、試合や練習中の走行距離と速度を計測するためのGPSを襟もとの
専用ポケットに格納するなど、機能面も大幅に向上した。

様々なグッズを展開する中でも特に個性的なのが、「ハングリー・ベア」と呼ばれるキャラクター。
早稲田大学の創設者である大隈重信から「隈(熊)」とし、これを北海道の民芸品として広く知られる
木彫りの「鮭を咥えた熊」に見立て、対戦校のユニフォームを模した鮭を咥えさせることにした。
「勝利への餓え」と「対戦相手を喰う」ことをわかりやすく表現しつつ、
幅広い層に早稲田大学ラグビー部への関心と興味を持ってもらうことを目指した。

Client:
早稲田大学 ラグビー蹴球部
2016.12