3/30

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  • 2016.11
for Takara Belmont

理美容機器や化粧品の製造販売を中心に、ヘアサロンのコンサルテーションや空間デザインなどを手掛けるタカラベルモントの企業ブランディング計画の一環としてのデザインコレクションの提案。

ピザなどの宅配サービスや新幹線の特急券など、多くの業界で速さは価値に繋がるが、低価格カットが流行する理美容業界ではカットが早い=低価格という構図が出来上がっている。また、顧客がヘアサロンを利用するサイクルは年々長期化しているが、中途半端に伸びた髪や白髪、毛先の傷みなど頭髪に関する部分的な悩みを抱える人は多い。これらの課題を同時に解決するために考案したのが、「3/30 (THREE THIRTY)」という新しいサービス形態。これは、3週間に一度は気軽に施術を受けられるよう、施術内容をカット/カラー/トリートメントの3分野に限定し、それぞれ質の高い施術を30分で行うというもの。 ヘアサロンに通う合間にこうした3週間ごとに30分のサービスを組み込むことで、人々が常にキレイを保てるという新習慣を提案。この新しいサービス形態に沿って、空間・機器・化粧品(コスメ)をトータルでデザイン。

まずは、この新習慣を特徴付ける、1人の顧客に対して理美容師が単機能サービスを提供する1.8m四方のコンパクトな空間ユニット。設置場所はヘアサロンの一角や駅構内、ショッピングモールなどをイメージし、事前に登録した理美容師が自由に使用できると想定。空間ユニットの空き状況や予約はオンライン上でも確認可能で、スマートフォンをかざすだけで受付や決済を行うこともできる。 つぎに、ヘアサロンへの滞在時間が30分であるということから、椅子やミラー、ワゴンやシェルフなどの機器には空間ユニットにも使用されている19mmのスチール製のフレームを使用することで浮遊感を表現し、どのような空間にも溶け込めるよう意識した。施術時間が短時間のため、ハイスツール型の椅子を用意。これにより、全身のバランスを見ながら施術ができるようになった。

シャンプーやトリートメント、整髪料などのヘアサロン用のコスメには、3週間で使い切れる容量設計と鮮度重視の製品を開発し、顧客がコスメを使い切るのと同時に来店するという新しいサイクルを生み出したいと考えた。牛乳などの生鮮食品を象った、新鮮さを想起させる形状のコスメ容器は専用のスタンドに固定され、限られたヘアサロンのみで購入できる特別感を演出。これらのコスメを透明な冷蔵ショーケースに保管することで、ワインにこだわりを持つ飲食店がワインセラーを演出的要素として活用するように、空間面からも新鮮かつ高品質なサービスを表現できるようにした。

このような機器や化粧品を導入した店舗、空間ユニット、そして既存の美容室をネットワーク化し、顧客カルテを共有することで、理美容師の流動的なワークスタイルや顧客への安定した施術を可能にした。同時に、既存の美容室との共存を考え、大元の顧客カルテを所有する店舗は、その顧客が別の店を訪れた際も3/30から売り上げに応じたキックバックを得られるようにし、相乗効果を発揮できるよう配慮した。 高い技術と高い価値×高回転率に着目した同サービスは、顧客単価と来店頻度の上昇にも繋がるだろう。ライフスタイルの変化や理美容院の専門店化にも焦点を当てながらスタッフのモチベーションを向上させ、人手不足や人材流出といった理美容業界の課題解決にも踏み込んだプロジェクト。

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