日本テレビの「another sky」の10周年を記念してデザインしたスタジオセット。
「another sky」は毎回ゲストが1人登場し、その人にゆかりのある地を訪れたVTRとともに、スタジオトークを交えながらゲストの人生や哲学を掘り下げていく番組。同番組のコンセプトは、一人ひとりに異なる思い出の場所、異なる空があり、それらは全て同じ ひとつの空として繋がっているというもの。そのコンセプトを空間で表現することに。
スタジオ内の背景をマットの白色にし、さらに空間には直径8mmのアルミ製のパイプを1060本用意し、パイプのそれぞれ異なる高さにグラデーション状に色を塗装。それらを均等に並べることで、飛行機の窓から見える、雲が積層した「雲海」のような空間が生まれた。
並んでいるパイプの上に透明アクリル板を乗せただけのシンプルなテーブルに、透明素材の椅子を配置し、撮影の際は露光を上げて背景を 白く飛ばすようにすることで、出演者と雲海だけが画面内に浮かび上がるような表現を目指した。
パイプの重なり加減やカメラの角度の変化によって、雲海の存在感が薄れたり強く立ち現れたりするような効果が生まれ、さらに、定期的にセット内に風を送り込むことでパイプがわずかに揺れ、雲海がゆらゆらと動いているように見えるなど、「画面内だからこそ魅力的に感じられる空間」というセットデザインならではの特徴を最大限に活かしたいと考えた。
このようにして、一人一人のゲストの小さな物語がたくさん集まり、ひとつの大きな風景を生み出していることを表現した 番組セットが生まれた。