表参道のギャラリー「EYE OF GYRE」にて行われた個展のために制作したコレクション。
量産される家具をデザインする際に、その家具が使用される状況を事前に把握することは難しく、必然的により多様なシーンに対応できる「平均的なスペック」のデザインとなりがちである。また、そのような家具が空間を満たすことで空間もまた均質化されていく。そこで、あえて特定の空間から家具のデザインを着想することで、空間と家具の間に新たな関係性が生まれることに期待した。ギャラリーを歩き回りながら、部屋のカドや飛び出している丸柱などの通常は「邪魔」な要素からイメージを膨らまし、空間に置かれた際のバランスと、家具自体のプロポーションの検証を交互に行うという特殊なデザインプロセスにより、5mm角の金属棒の一部に直径100mmの小さな天板が付いた、不思議なテーブルたちが生まれた。それは壁のスミやカド、床のキワ、展示台などにまるで「寄生」するようにしながら、空間要素を構造の一部として活用するようなデザインとなった。