広島県のマルニ木工が製作する、脚の太さが15mmしかない木製の椅子。
9mmの太さのスチールフレームに対し、シート状の木を巻き付けて化粧するのではなく、無垢の質感を追求するために各種パーツを木から削り出して全体を被服していくことに。これらの部材の肉厚が3mmしかなく、量産用の工作機を使用できないため、ひとつひとつが職人の手によって削りだされ、木目も揃うように丁寧に貼り合わされた。これまでの構造と意匠の最小公倍数を模索する「機能美」ではなく、まるで電源用コードの金属導線とそれを被服するゴムの関係や、鉄筋コンクリートのように、それぞれの役割を明快に切り離してあげることで、木は構造から解放され、本来持つ温もりや柔らかさといった表情が鮮明に浮かび上がり、最大公約数を引き出すようなデザインとなった。
cord-chair
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- 2009.10
for Maruni
Photographer : Yoneo Kawabe