GACHA GACHA COFFEE

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  • 2019.11
for Maruyama Coffee

スペシャルティコーヒーチェーンやサードウェーブコーヒー店が台頭し、さらにコンビニコーヒーの普及によって、コーヒーの種類や楽しみ方はこれまで以上に多様化し、私たちの生活に欠かせない存在になりつつある。ところがそんな中、多くのコーヒーチェーンや喫茶店にとって少子化に伴う人手不足が深刻な問題となっている。人材確保がただでさえ困難なのに加え、従業員にはレジ打ちや調理、サーブ、清掃といった基本的なオペレーションだけでなく、コーヒーに関する知識や接客能力といった多くのスキルが求められるのにも関わらず、充分な育成期間や人材コストがかけられないことがサービスの質の低下を招き、客離れが進行するケースが少なくない。これをテクノロジーを駆使した無人店舗化によって解消するという選択肢もある一方で、アナログな要素を組み合わせたセルフ方式のカフェ業態をデザインすることに。

六本木ヒルズ展望台内に位置するカフェスペースに足を踏み入れると、まず迎えてくれるのが整然と並んだガチャガチャマシン。この、本来は玩具を買うための定番の機械を使って、一杯分のコーヒー豆が入ったカプセルを購入する。複数の種類の中から選べるだけでなく、異なる種類の豆が混ざっているマシンもあり、中には希少性の高い「シークレット」なものも入ってるため、小さなワクワク感と共に未知のフレーバーとの出会いも楽しめる。次に、購入した豆をお客様自らグラインダーに入れるとドリッパーに挽かれた豆が落ち、最後にそのドリッパーとカップを抽出機にセットしてボタンを押すとコーヒーが抽出される。

コーヒー豆の選定や焙煎、グラインダーや抽出機のセッティングなどは全て軽井沢のコーヒー専門店「丸山珈琲」によるもので、「挽きたて」「淹れたて」のドリップコーヒーの本格的な味わいや香りを存分に楽しむことができる。このように、オペレーションを簡略化し、さらにお客様にも「お手伝い」をしてもらうことで従業員の負担が軽減され、その時間をお客様とのコミュニケーションに割けるようになる。また、これまではコーヒーができるまでイライラしながら待っていた時間が、お客様も参加することによってそのストレスが緩和されるのも大きな特徴である。つまり、完全な無人化が目的なのではなく、お客様にも従業員にも心地よい時間を過ごしてもらうことが目的なのである。

Collaborator: tom(space) / tku(graphic) / mit(movie), Tze Toh(music)
Photographer: Akihiro Yoshida, Takumi Ota