kojimachi terrace

東京・麹町に建設された、地下1階、地上11階のオフィスビルの内外装デザイン。

通常のオフィスビルは気密性が高く、空調設備によって完全制御されているため、
室内から天気の変化や季節の移ろい、そして街の気配などは感じ取りにくい。
そこで、外の空気や気配を建物内に積極的に取り込むことで、
外部との繋がりが感じられるオフィスにしたいと考えた。

最初に、6つの階にそれぞれ異なる特徴を持ったテラスを配置。普段は屋外空間としての使用を想定しているが、
建具を閉じることで、カジュアルなミーティングや休憩用のコーナーとして使える。
特に9F〜11Fのテラスは、吹き抜けによって縦方向の視線の繋がりのある、
立体的な半屋外スペースとなっている。これ以外にも、大きく開放できる窓を積極的に配置することで
建物内の自然換気もできるようにした。

ただし、このようにテラスや開口部を多く設けると、サッシや手すりが増えるほか、
カーテンウォールを支える方立なども必要なため、必然的にノイズが増えてしまう。
そこで、これらの線的な要素をいずれも断面寸法を60mm角にし、木質の仕上げで統一。
これを前後に浮かせながら6つのレイヤーに編み上げることで、
「スカスカ」な表情の外観デザインが生まれた。これによって、ノイズを感じさせないようにすると共に、
オフィスビルにありがちな均質さや冷たさを軽減し、内部と外部を極力遮断しないことを考えた。

仕上げもまた均質なものではなく、ムラ感や経年変化を重視し、
銅色ステンレス材やザラッとした洗い出しの床、小手ムラを残した左官仕上げなどを積極的に採用。
照明器具はファサードと同じく断面が60mm角のライン状のものを編み上げるように配置。
これらは下方向だけでなく、上方向にも光を照射させることで、天井に奥行き感を生み出しつつ、
空間全体に柔らかく光が回ることを意識した。さらに、エントランスに設置したベンチも
銅色ステンレス鋼材をファサードと同じルールで編み上げて作成し、
ロゴやカーペットも「編み目」をモチーフにしたデザインとした。

Client:
横浜駅前ビルディング
Collaborator:
IKAWAYA ARCHITECTS
Yuichiro Kawabata
Arata Nishikawa
Photographer:
Takumi Ota
2019.05