PRIME news

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  • 2018.04
for Fuji Television

これまでの、昼の「FNNスピーク」、夕方の「みんなのニュース」、夜の「THE NEWS α」、そして日曜朝の「新報道2001」というフジテレビの4つの報道番組は、同時間帯の他局を意識した個別の戦略でそれぞれ制作されてきた。
この「横軸」の考え方から、「フジの報道」をより強く意識できる「縦軸」の戦略に転換。短期的な結果を追うのではなく、フジテレビの資産として長期的に積み上げることを意識したこの考え方は、グラフィックやスタジオセットを共通化することで、効率化とコストパフォーマンスの向上も同時に図れた。

統一ブランドの名称を「プライムニュース」とし、昼はライトブルー、夕方は夕空の赤、夜は日が沈んだパープル、そして日曜朝はエメラルドブルーと、放送時間の「空の色」を意識した番組カラーを設定。そして、番組ごとで異なっていた文字フォントや表示方法をすべて統一。
文字が見やすくなるよう、コントラストを効かせながら、しっかりとした表示サイズに拡大。さらに、画面左には常に表示されている「インフォ・ドック」というエリアを設置し、「時間、日付、曜日」、「3地域の天気」「スポーツ結果」といった情報を表示。パソコンのドックのように、バー状に伸びて追加の情報を掲示することもできる。また、通常時は半透明のライトグレーでありながら、速報時はレッドに変化することで一目で判別できるようにした。

また、従来は画面の四隅を埋め尽くすように配置されていた情報を、極力「左」に集約。文字を読む際の視線に動きに合わせて、情報を左から右に流し、視線の動きを最小化するような表示方法を取った。その他、「株価/為替」「お天気」といった番組内コーナーに使用する各種画面も合わせてデザイン。可読性の高いデザインを意識しながら、目のストレスにならないような柔らかい色合いを選択。このように、ノイズを取り除きながら、様々な情報が分かりやすく識別できるような画面デザインに配慮した。

共通化された番組のセットは、インフォ・ドックやロゴなどにも使用した「バー」をモチーフに、スタジオ内に様々な高さに設置。バーの色はナチュラルとダークウッドの2種類で、カメラが右手から左方向に撮った場合は、ナチュラルが多く優しい印象に。逆に、左手から右方向に撮った場合は、ダークウッドが多く、落ち着いた印象になる。真正面からセットを撮った場合は、2種類の色が混在し活気のあるイメージに。組ごとに撮る角度を変えることで、各番組の雰囲気やターゲットに合わせて変化するようになった。

さらに、床の高さに変化を持たせることで、デスクの前に座るベーシックなスタイルに加えて、カジュアルにベンチに腰掛けたり、高いところに立ってプレゼンテーションを行ったりなど、さまざまな座り方や立ち方ができるよう配慮した。情報を表示するためのモニターにも、2,000mm四方の正方形のものに加え、9メートルの「バー」状のものを用意。モニター内で情報を移動させたり、キャスターが移動しながら説明したりするなど、セットの空間特性を生かした情報発信が可能になった。ニュースキャスター用のデスクは、アナウンサーが少しでも快適に過ごせるよう、機能面を徹底的に追求。内側には、手元を照らす照明や液晶モニター、原稿を撮影するためのカメラ、読み終えた原稿を捨てるためのスリット、私物用の収納などを完備している。

番組セットのライティングは、朝の木漏れ日や、夕方の暖色系の光など、各番組の時間帯に合わせて個別に設計。オープニングの音楽や、CM開けの2.5秒のジングルは音楽家の亀田誠治氏が手がけ、基本のメロディーは全て共通にしつつ、番組ごとに編曲を変えるなど、統一感と番組ごとの個性のバランスが図られた。

ピンポイントで必要な情報を瞬時に入手できるインターネットと違い、テレビのニュースからは雑多な情報が無差別に流れてくる。これからの報道番組が担う役割は、非日常的で強い刺激を与えることではなく、当たり前に日常生活に溶け込み、日々のリズムを作り出すための情報源となることなのではないかと考えた。そんな、毎日三食食べても飽きない、まるで炊きたての白米やパンのような心地の良い「当たり前」を目指してデザインした。