Shanghai Times Square

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  • 2020.05
for China Resources Land

上海浦東地区のファッションビル「上海タイムズスクエア」のリニューアルプロジェクト。地下2階、地上9階で延べ床面積が約53,200平米あり、約170のファッションブランドやライフスタイルショップ、そして各種飲食店が入る。

既存の建物は幾度となく改築や増築が繰り返された結果として、主動線はジグザグに折れ曲がり、非常に見通しの悪い状態となっていた。また、吹抜けがいくつか存在するものの、まるで「井戸」のような形状によって上層階との繋がりが希薄であった。そこで、まずは地上階のメインの通路を直線的に整えることで買い物客が外部から入りやすくしつつ、上層階はエスカレーターの再配置と回遊動線を確保することでスムーズな買いまわりができるようにした。そして、井戸状の吹抜けを少しずつずらしていき、「奥に進むごとに上の階の様子が徐々に現れてくる」ように視線と動線を連動させることで、自然と買い物客が上層階に誘引されるような空間にした。

こうした商業施設としての基本的な機能を整理していった結果、まるで「劇場」のような空間構成になっていることに気づいた。チケット売場やホワイエといった空間を抜けて、徐々に上の階に昇っていくと大きなシアターが迎えてくれるような、あの一連の体験とよく似ているのである。また、通常、シアターはどの席からもステージ上が綺麗に見えるように計画されているが、ここも同様に視線の抜けを意識した階段状の造りである。買い物客は様々なブランドや商品、そして各種イベントなどを「鑑賞」する感覚と同時に、買い物をしている自分自身もまたインテリアの一部となってステージ上で「演技」をしているような気分にもなれるのである。

建物のファサードとアトリウムを柔らかく覆うのは「舞台幕」をイメージしたアルミパイプ製のスクリーン。このドレープ状の表情は、主要な柱や壁面の石材にも施された。また、舞台を縁取る「プロセニアム・アーチ」と呼ばれるアーチ型のモチーフを間仕切りや家具、そして照明などにも積極的に採用することで、空間に柔らかさを親しみやすさを与えてくれることに期待した。さらに、通路から部分的にアトリウムに張り出した「ボックスシート」のような休憩コーナーや、貴賓席のようなVIPラウンジ。「ピアノの鍵盤」のようなフードコートに、「スポットライト」をモチーフにした雑貨売場など、「劇場」を想起させるデザイン要素をふんだんにインテリアに盛り込んだ。最後に、館内のサイン計画もまた、開演して「舞台幕が開いた」様子をイメージしたデザインとした。

Collaborator : onndo (interior) / cacdo (graphic)
Photographer : Takumi Ota