Siam Discovery

  • 2016.05
for Siam Piwat

タイのバンコク市内にある大型商業施設「Siam Discovery」の1~5階の内装と外装を含む、全面リニューアル計画。既存の建物の間口が狭く、奥行き方向に深いため、手前のほうで人の流れが滞っているという課題に対し、いままで点在していた複数の円形の吹き抜けを拡張して繋ぎ、奥まで人々を誘導する「峡谷」のような58 mに渡る細長い吹き抜けを設けることにした。さらに、この吹き抜けの片側にはフレーム状のボックスが202個積層されてできた壁面があり、中には映像用モニターや、サイネージ、商品用ディスプレイなどが設置され、建物全体のインデックスのような役割を果たす。この壁面は1階から4階まで貫いているため、人々の上階への誘導を促す効果もある。そして、エスカレーターも配置しなおすことで、この吹き抜けと壁面を介して人の流れを円滑化することを考えた。

外装デザインは、これまでの閉塞感を解消することを目的に構造上の制約ギリギリまで壁を取っ払い、できるだけ外部に対して開くことにした。ただし、バンコクの強烈な日差しは和らげる必要があるため、吹き抜けに設置された「積層されたボックス」をイメージしたパターンをダブルスキン状にあしらったファサードを設けた。

また、ショッピングセンターと百貨店を融合させたような新業態であることから、共用部分の環境デザインのみならず、一部のテナントを除き、大半を占める自主編集売場を全て手掛けることとなった。ブランド単位でカテゴライズするのではなく、多様な嗜好性やライフスタイルを積極的にミックスし、来場者に刺激と発見を促すことを目的としていることから「Lifestyle Laboratory」というテーマを設定し、ビーカーやフラスコ、試験官などの科学実験器具、標本箱、各種グラフや分子構造、DNAの塩基配列、顕微鏡やアメーバ、煙や気泡などをモチーフにした様々な売場を13箇所デザインした。そして、それらの売場と共用部分の床や天井の仕上げをグラデーション状に馴染ませることで、実験時に異なる物質同士を混ぜ合わせる様子を表しつつ、人々が気軽に行き来できる雰囲気作りを心がけた。

最後に、この商業施設を象徴する存在として「Discovery Man」というキャラクターを制作した。建物のデザインにも多用されているキューブ型の頭を持ち、上部がわずかに開いていることで常に何かが出入りをしているような、知的好奇心と創造性を表すキャラクターにしたいと考えた。このキャラクターは施設内で案内役を務めたり、オープニングイベントとしてタイ国内をはじめアジア全域から選ばれた30名のクリエイターたちによってペインティングやカスタマイズが施され、空間を彩ることとなった。siam-discovery_sketch