Theory London

ベーシックでありながら機能性とさりげないトレンドを取り入れたNY発信の
ファッションブランド「theory」の店舗デザイン。パリ2店舗とロサンゼルスに2店舗と、
ロンドン、香港、北京、上海にそれぞれ1店舗ずつ。国内は自由が丘店、大阪店を手掛けた。

既存店の特徴である、シンプルで機能的でありながらNYのロフトのような素材使いや無骨な印象は踏襲しつつ、
新たな店舗コンセプトとして「人の流れ」に重点を置いた設計を試みた。
まず、街に対して「新しい道」を作るような感覚で動線計画を考えることで、
人が自然と入店してスムーズに店内を回遊できるように配慮した。

ロンドン店は交差点にそのままぶつかるように直線的な「大通り」をつくり、
パリ店は角地であることから両端にエントランスを設けて、柔らかい曲線状の
「ショートカット」をつくるようにした。そして、それぞれの「道」の特徴に合わせて
「広場」や「公園」のような商品展示用ステージや、「休憩所」のようなラウンジコーナーを
設けていくことで空間にメリハリを持たせた。

ロンドン店であれば道に沿うように配置された8.2mの長いテーブルであったり、
パリ店であれば三角州のような大きなステージに10体以上のトルソーをレイアウトできるようにしている。
また、試着室は通常よりも広く確保し、さらにその外周部には人目を気にせずにゆっくりと商品を
選べるような「バファーゾーン(緩衝地帯)」も用意することで、「人の流れ」から切り離された
場所となることを考えた。このようにすることで店舗毎に異なるさまざまな条件に対応しながら、
新しい「人の流れ」を生み出し、それが店内だけでなく周辺にも染み出すことを目指した。

Photographer:
Daici Ano
2012.07