WBS

  • 2021.03
for TV Tokyo

1988年から続く「WBS(ワールドビジネスサテライト)」は、テレビ東京系列の看板経済ニュース番組。

スタートしてから33年目にして初となる全面リニューアルに際して、番組ロゴやスタジオセット監修、オープニング映像、テロップなどの総合デザイン計画を行った。この番組の特長のひとつとして、経済情報を「点」で捉えるのではなく、複数の事象を関連づけ、連続性を伴った一連の「流れ」として扱うことである。
その流れは、一筆書きのように一筋に流れることもあれば、複数の支流に枝分かれしたり、再び合流したりする。また、時系列に沿って上流から下流に流れるとは限らず、ときには時間を遡ったり、循環もする。こうした多様な情報の「流れ」に着目したデザインとなった。

番組ロゴは頭文字の「WBS」をずらしながら配置することで動きを出し、それらを部分的に繋いでいくことで「流れ」が感じられる表現に。番組のテーマカラーもライトブルーからブルー、ブルーからパープルへとグラデーション状に変化させ、移ろいゆく色相の「流れ」を表している。

スタジオセットは曲線を使って空間に奥行き感や流動性を生みつつ、色彩の数を抑えることで煩雑な印象にならないように配慮。アクセントとして設けた「螺旋階段」によって、垂直方向の視線の流れも加えることを考え、監修した。

オープニング映像では、「人」や「情報」などを表す複数の「点」同士が繋がっていき、「線」となる。それらが「流れる川」となり、やがて枝分かれして「樹木」に育つ。その後、日常風景が映し出された複数のモニターが繋がり合うことで、ネットワーク化による従来の中央集権型システムから分散型社会へ移行する可能性を想起させる表現へ。様々な異なるスケールの社会の出来事を連続的に俯瞰するイメージを目指した。

視聴者にとってストレスなく情報が入ってくることを考え、フォントや文字サイズ、文字間隔、明度差は繰り返し検討。視線のスムーズな流れを意識した情報レイアウトに。放送中画面内に表示されるテロップやアタック(場面転換やCM前に挿入される短い映像)、コメントフォロー(話し言葉を文字情報にして補うテロップ)などは、装飾的な要素を一切使用しないフラットかつシンプルなものにした。

一見すると「黒」に見える文字色は番組カラーの「ブルー」の明度を落としたものを使用するなど、番組カラー以外の色をできるだけ用いないことで、番組として統一された印象を保つだけでなく、「速報」などの注意喚起色が際立つ。
グラフやチャートなども用途ごとに複数の配色パターンを検討。色数が増える際には、色の判別がしづらい色覚特性を持つ視聴者に配慮した配色計画を用意している。

番組ロゴやカラーリングのイメージを踏襲し、シリーズ企画やコーナーのロゴや映像も作成。「白熱!ランキング」は、ランキングを通じてモノやサービスの市場の動向を探る企画であることを、右肩上がりの「折れ線グラフ」と「王冠」を合わせて表現。「トレンドたまご」は、あらゆるジャンルの独自の商品や技術をリポートしていくコーナーであることから、新しいアイデアが生まれ、社会的なトレンドへとステップアップしていくことをイメージし、卵の割れ目を「階段」として表わした。

このように、ミクロ〜マクロ、個人〜社会、国内〜海外、過去〜未来、そして多世代間の出来事をひとつの「流れ」として扱い、分け隔てなくフラットに伝えていく番組のスタンスをあらゆるタッチポイントで表したブランディング計画となった。

Collaborator : nsz, mit, mto, sus
Photographer : Masaya Yoshimura