ヒラタ ノ ボウシ

国際的帽子デザイナー・平田暁夫氏の70年に及ぶ創作の歴史を凝縮した
国内初の大規模な展覧会「ヒラタノボウシ」のグラフィックと会場デザイン。

平田氏が手掛ける帽子が一点一点「手作り」であることから、あえて真逆の要素である、
「量産」された不織布の帽子を使って空間を作ることで、平田氏の帽子が周囲から際立ち、
より活き活きと見えることを考えた。

不織布の帽子の形状は平田氏によって監修され、展示されている帽子の「抜け殻」や「幽霊」のような
存在として、ふわふわと揺れて漂いながら、ときには展示台となり、またときには壁や天井に、
そして光を拡散させるディフーザーとしての役目も果たすこととなった。

最終的に約4000個の帽子によって満たされた空間は、まるで「雲」に覆われたかのようになり、
緩やかに来場者を内部に誘導しながら、明確な順路によってではなく、自由に歩き回りながら
作品を発見していくような展示環境となった。
そして、それこそが平田氏の「自由な創作」を体現しているかのようであった。

Places:
Spiral
Tokyo
Client:
Akio Hirata
Photographer:
Daici Ano
2011.06 - 07