% ARABICA Kuwait Abu Al Hasaniya

京都の東山発祥のコーヒー専門店「アラビカ」にとって海外28︎店舗目となる、
クエートの東海岸沿いの商業エリアに位置するカフェのインテリアデザイン。
白を基調としながら真鍮やモルタルといったアクセント素材の使用や、
「ビーンズマップ」と呼ばれる世界地図のオブジェ、白いエスプレッソマシーン、
そしてコーヒー豆が入った麻袋が整然と並ぶガラス張りのビーンズセラーなど、
アラビカを象徴するインテリア要素は様々ある。

これらを踏襲しつつ、4メートルの天井高と2方向に大きく開かれた窓を最大限生かしたいと考えた結果、
客席からサービスカウンター、ビーンズセラーへと徐々に上昇していく「ひな壇」状の空間構成にすることに。
これにより、店内のどの席に座っていても窓の外に目線が抜けるようになり、
逆に外部から眺めると店内に賑わいが感じられる。

さらに、座ってコーヒーを楽しんでいる人と購入のために並んでいる人の視線が干渉せず、
その一方で、店員は常に店内全体を見渡せるようになった。
また、女性は親族以外の男性からの視線を避けるというイスラム文化圏の習慣に配慮し、
ベンチを大きく湾曲させることでお互いの視線がほどよく合わないように配慮した。

約190㎡の店内には約30人が座ることができ、屋外テラスには44席用意。
この両者を視覚的に繋ぐために、ベンチの両端をそのまま窓の外まで延長することにした。
なお、車椅子やベビーカーを使用しているお客様に対しては、店舗スタッフがエントランスで
注文や受け渡しを行うことで対応している。

このように、カフェ内に存在する様々な「視線」を上下方向に4つのレイヤーに分離し、
それらの向きや度合いの最適化を図ることで、 店内で過ごすあらゆる人たちにとって
居心地の良い空間となることを考えた。

Client:
アラビカ
Collaborator:
onndo
Photographer:
Takumi Ota
2019.03