Break to Make / Daniel Arsham x nendo
「nendo makes. Daniel breaks.」をテーマに選び、
ニューヨークを拠点に活動するアーティストのダニエル・アーシャムとコラボレーションしたプロジェクト。
nendoが作成した特定の機能をもたない造形物に対して、
ダニエルが部分的に壊すことで、新たな機能をもたらす。
浴槽のようなものからはアームチェアや二人掛けソファが、細長いブロック状のものからはベンチやスツールが、
そして、背の高い四角形状のものからはコンソールテーブルが現れた。
いずれもダニエルの作品に多く使われるパステルトーンの配色で仕上げられている。
長年に渡ってダニエルを代表する作品テーマである「Fictional Archeology (フィクションの考古学)」は、
現代の日用品を部分的に「壊す」ことによって、あたかも発掘されたかのような表情を生み出すというもの。
一方で、「継手」や「組手」を用いた木造建築や、タガを外せば何度も分解と
組み立てができる桶に代表されるように、日本の伝統的なものづくりは
「いかに壊れやすく生み出すか」という思考を大切にしている。
nendoの普段の活動においても、このように「壊れることから逆算された」ものづくりはテーマのひとつとなっている。
「壊す」から生み出すアーティストと、「壊される」を意識して生み出すデザイナーの協業により誕生した家具コレクションは、
現代のものを「過去」のもののように表現するアーティストと、「未来」を予測しながら現代のものを表現するデザイナーの、
両者の視線の重なり合いを意味しているのかもしれない。