共創HALL + 共創LOUNGE

オープンで活発な対話を可能にする共創型ワークスペース
Client :
株式会社丸井グループ
2025.10

東京・中野にある丸井グループ本社ビルの改装プロジェクト。
社内外の多様な人々や価値観が交わることで、新たなビジネスやアイデアを創出する
「共創型コミュニケーション」を体現する空間が求められたことから、
3Fに「共創HALL」、9Fに「共創LOUNGE」と呼ばれる2つのワークスペースを計画した。

3Fの「共創HALL」は、様々な規模のセッションやセミナーに対応できるオープンな空間。
通常であれば大空間を必要に応じて分割して使用するが、小規模な空間が緩やかに集まり、繋がることでひとつの大きな「場」となることを考えた。
その結果、複数の円弧状のベンチがかさなりあった「大きな雲」のようなデザインとなった。
最大280人を収容可能で、イベントがない時間帯は社員のためのラウンジとして機能する。
従来の縦方向のレイアウトではなく、登壇者と参加者の距離が近い横方向の構成に。
さらに、段差を設けた「求心型」の座席配置は、参加者同士の視線を遮ることなく、会場の一体感を高める効果をもたらす。
また、壁面や天井に吸音性を持たせつつ、話者の声を自然に届ける音響システム「ボイスリフト※」を導入。
照明や音響、カメラなどもタブレット1つで一括制御できるようにした。

9Fの「共創LOUNGE」は、3Fのデザイン要素を踏襲したワークスペースであり、
多様な人々が思い思いの時間を過ごしながらも、自然と一体感が感じられる空間を目指した。
最大200人が執務できる空間に、4つの会議室とカフェ、展示コーナーを併設。
さらに、20~40人規模のイベントが行えるフレキシブルなエリアを3ヶ所用意した。
壁面の本棚に並ぶ書籍は、社員へのインタビューをもとに選書されており、貸し出しも可能となっている。
また、あまり活用されていなかった休憩スペースは、社員がリラックスできる「縁側GREEN」へとリニューアル。
縁側をイメージしたベンチの足元には、庭の砂利を彷彿とさせる石と廃材の木を配合したテラゾー材を使用し、
窓面を全面植栽とすることで、グリーンに包まれた空間とした。
対面ではなく横並びに座ることで、ゆるやかなコミュニケーションが生まれることを狙った。
最後に、3Fと9Fともに、照明の明るさや色温度は時間帯ごとに、香りは季節ごとに変化させることで、空間が均質化することを避けた。

※ボイスリフト:シーリングマイクで集音した話者の声を複数のスピーカーから出力し、話者が空間のどこにいてもすべての参加者に声が届くようにする仕組み

Client :
株式会社丸井グループ
2025.10
Collaborator :
mado
Midori Kakiuchi
Kentaro Tanaka
Ibuki Osawa
Photographer :
Takumi Ota