coen car

株式会社ディー・エヌ・エーのためにデザインしたコンセプトカー。同社はモバイルゲームや
SNSの開発・運用といったIT関連事業を多数手掛けることで知られているが、プロ野球チームや、
その他のスポーツ事業などを通じた「都市インフラ開発とコミュニティ形成事業」や、
「AI技術」を駆使したサービス、そして「自動運転技術」の活用も行っている。
これらの3つの新規事業のノウハウを持ち寄った横断プロジェクトとして「子供と遊んでくれる、
すこし未来のクルマ」が構想された。「AI技術」によって状況に応じた遊び方を提供してくれ、
「自動運転技術」によって子供たちの安全を確保しながら遊んでくれる。
そして、公園や空地、幼稚園などを巡回することで「地域の活性化」を目指すというもの。

まずは一般的な公園の遊具とそれらに関連する行動をリサーチした結果、6つの基本動作に絞り込むことができ、
それをもとに6車種をデザインすることに。昇降移動をサポートする「01.agaru」、回転運動の「02.mawaru」、
うんていやブランコ遊びなどにみられる不安定な横方向への動きの「03.yureru」、
高いところから滑り降りる「04.suberu」、上下方向の跳躍運動の「05.haneru」、
そして休憩を促す「06.yasumu」。このように、抽出された「遊びの因子」をクルマという形に変換し、
それらを自由に組み合わせることによって、さまざまな遊びが実現できるようになる。
例えば、「01.agaru」が2台向き合うことでシーソーのような遊びができたり、
「01.agaru」と「04.suberu」が連動することで滑り台になる。
今後、全く新しい遊び方を子供たちと一緒に考え、生み出していくことも可能である。

クルマならではの機動性を生かし、公園の広さに合わせて柔軟に台数を増減させたり、
試合開始前の野球場など、人が多く集まる時間にピンポイントで出現することもできる。
移動中もまた、まるでサーカス団の巡業のように列をなしている様子が魅力のひとつになるかもしれない。
そして、専用アプリによって現在どこをクルマたちが移動し、何時に近くの公園に来るかが
タイムリーに確認できたり、複数人が集まることで逆にクルマたちを誘致することも考えられる。
最先端の技術によって、従来の「クルマの近くでは遊んではいけない」という考え方を180度変える
「近くで一緒に遊んでくれるクルマ」という存在になることで、単なる移動手段としてではない、
新たな人とクルマの関係が生まれることを目指したプロジェクト。

Client:
DeNA
Collaborator:
Shun Naruse (product)
Shota Tao (product)
Shimpei Mitani (movie)
Photographer:
Akihiro Yoshida
Filming:
bird and insect
2020.03